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QoS
- Quality of Service
- ネットワーク上で提供する機能を安定的に稼働させるためのサービス品質
- 遅延に弱い音声パケットなどを優先的に処理する
- デフォルトのQoS動作はuntrust状態
- QoSにはDifferServ、IntServというモデルがあります。
アーキテクチャ | |
---|---|
DifferServ | ・一般的なQoSのモデル。 ・インターネットなどの大規模なネットワーク ・パケットをクラスに分類・マーキングしクラスごとに優先度を提供するモデル。 ・拡張性が高い。 ・ソフトQoSモデルとも呼ばれる。 |
IntServ | ・アプリケーションのフローごとにエンドツーエンドのQoSを提供するモデル。 ・RSVPというプロトコルを使用。(Resource Reservartion Protocol:リソース予約プロトコル)(例:VoIPによる音声通信の帯域を予約) ・ハードQoSモデルとも呼ばれる。 |
ベストエフォート | ・デフォルトの適用のモデル。 ・FIFO(First In First Out:先入先出し)の動作により届いた順に転送。 ・ベストエフォート:通信品質の保証はしない。 |
QoSツール
QoSを実現するための機能はQoSツールと呼ばれ、以下のものがあります。
- 輻輳管理(分類、マーキング、キューイング、スケジューリング)
- 輻輳回避(RED、WRED)
- 帯域制御(シェーピング、ポリシング)
※インターネット回線や電話回線にアクセスが集中することを輻輳と呼びます。
【音声トラフィックのQoS要件】
項目 | 要件 |
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遅延 | 150ミリ秒以下 |
ジッター (遅延のゆらぎ) | 30ミリ秒以下 |
損失 | 1%以下 |
帯域幅 | 30〜320kbps |
NBAR
NBAR(Network-Based Application Recognition)はトラフィックをプロトコルによって分類したり、ネットワークを通過するアプリケーションを監視したりするツールです。
輻輳
通信分野では、インターネット回線や電話回線にアクセスが集中することを輻輳と呼びます。
<LANトラフィックの輻輳の原因>
- 帯域幅が狭い
- コリジョン
- ブロードキャストの増加
- ブロードキャストストーム
輻輳管理
輻輳管理では、以下を行います。
分類 | QoS適用対象となるパケットを分類する |
マーキング | 分類されたパケットに優先度識別用の印を付ける |
キューイング | パケットに付けられたマークを使って、それぞれの優先度に応じたキュー(パケットを溜めるバッファ)に格納する |
スケジューリング | 各キューからデータを取り出して送信する |
方式 | 特徴 |
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FIFO (First In First Out) | パケットを受信した通りに転送(デフォルト) |
PQ (Priority Queuing) | ・優先度の高いパケットの転送を完全に優先 ・優先度には「high」「medium」「normal」「low」の4つが使用されます。 ・PQには一般的に音声パケットを割り当てます。これにより音声パケットの低遅延、低ジッタ、低損失を実現します。 |
CQ (Custom Queuing) | 各キューごとに定義したバイト数ずつパケットを転送する |
WFQ (Weighted Fair Queuing) | ・フローごとのキューを自動で管理する ・優先度の高いパケットを多めに、低いパケットは少なめに転送 |
CBWFQ (Class Based WFQ) | ・プロトコルなどを基に管理者が「クラス」という単位でキューを設定する ・クラスごとに最低保証帯域幅を指定できる |
LLQ (Low Latency Queuing) | ・PQとCBWFQの特徴を併せ持つ ・PQは最優先で処理される ・PQには一般的に音声パケットを割り当てる |
- 非対話のデータ、音声やビデオ…CBWFQ
- IP電話やテレビ会議(対話型)…LLQのPQ
CoS
- CoS(Class of Service)はイーサネットフレームの優先度をあらわします。
- IEEE802.1Qで付与される4バイトのタグの中にPRIというCoSの値を表すフィールドがあります。
DSCP
DSCP(Differentiated Services Code Point)はIPパケットの優先度を表します。
同様にIPパケットの優先度を表すものにIP Precedenceというものもあります。
信頼境界
信頼境界(Trust Boundary)とは、QoS対象となるパケットがネットワークに入ってくるエッジ(端)のことをいいます。
- 分類とマーキングは信頼境界で行います。
<信頼境界にするのが望ましい機器>
マーキングはユーザPCや特定のアプリケーションがパケットを生成する際に勝手に付けることも可能なので注意が必要
⇒主にアクセススイッチやIP電話を信頼境界にするのが望ましい。
アクセススイッチやIP電話は受信したパケットにすでに施されているマーキングを無視し、改めてQoSポリシーに従って分類、マーキングを行うことで適切なQoSを実現できます。
マーキング
輻輳管理において、分類されたパケットに優先度識別用の印をつけることをマーキングといいます。
L2マーキング
レイヤ2(Ethernet)のマーキングには、CoS(Class of Service)フィールドを使用します。
L3マーキング
レイヤ3(IPv4パケット)へのマーキングには、ToS(Type of Service)フィールドを使用します。
L3マーキングには、ToSフィールドの先頭3ビットでマーキングを行う「IPP(IP Precedence)」と、先頭6ビットでマーキングを行う「DSCP」があります。
DSCP
- DSCP(Differentiated Services Code Point)は、IPパケットに優先度を付加するために使用します。
- EF(DSCP値:46)が最優先として扱われます。EFは主にIP電話のような音声トラフィックに使用します。
輻輳回避
- 輻輳によるテールドロップ(キューが一杯になったときに後から届いたパケットを破棄)する前に待機しているパケットをドロップする機能。
- RED、WREDなどがあります。
RED
Random Early Detection:ランダム早期検出。
以下の3つのモードで動作します。
ノードロップ | ・パケットの量が最小しきい値以下の状態 ・パケットをドロップしない |
ランダムドロップ | ・パケットの量が最小しきい値を超えた状態 ・設定した割合に基づきパケットをドロップする |
フルドロップ | ・パケットの量が最大しきい値を超えた状態 ・着信したパケットを全てドロップする(テールドロップと同じ) |
WRED
Weight Random Early Detection:重み付けランダム早期検出
- 優先度の高いパケットをドロップする前に優先度の低いパケットをドロップする
- キューが満杯になるのを防ぐことで輻輳を緩和する
Voice over WLAN
VoIPを無線LANで扱うことを、Voice over WLANといいます。
UDP
【QoSの推奨設定】
用途 | 設定値 |
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VoIPなどの音声データ | Platinum |
ビデオなどのストリーミングデータ | Gold |
ベストエフォート | Silver |
バックグランド | Bronze |
帯域制御
ポリシング
- 指定した転送レートを超えて送受信されたパケットをを破棄する
- パケットに再マーキングする
シェーピング
- 送出レートを超えるパケットをキューに保持する
- 利用可能な最大送出レートをあらかじめ設定しておく