ルーティング
ネットワーク層でL3(レイヤー3)スイッチ、ルータが経路情報を制御して、最適な経路を選択して転送することです。
- 非カプセル化をおこない、パケットを取り出す。
- ルーティングテーブルから、ネットワーク部が完全に一致しているエントリを探す。(ルーティングテーブルに載っていない宛先アドレスのパケットを受信した場合は、そのパケットを破棄します。)
- IPパケットをカプセル化する。
- ネクストホップと出力インターフェースに従ってパケットを転送する。
- 宛先MACアドレスはARPで調べる。ARPテーブルに情報がば無ければARP要求を送信して問い合わせることになる。
- 宛先MACアドレスや送信MACアドレスは、ルータを経由するたびに付け替えられる。
ルーティングテーブルの表示
show ip routing
宛先の指定方法 | 説明 |
---|---|
ホストルート | ホストルートとはそのアドレスを持つホストへの経路です 宛先アドレスにホストアドレスを指定しサブネットに255.255.255.255を利用します。 (config)#ip route 192.168.1.1 255.255.255.255 10.1.1.1 |
ネットワークルート | ネットワークルートとは、そのネットワークへの経路です。 宛先アドレスにネットワークアドレスを指定し、サブネットに255.255.255.0などを利用します。 (config)#ip route 192.168.1.0 255.255.255.0 10.1.1.1 |
デフォルトルート | デフォルトルートとは、未知のネットワークにパケットを転送する際に使用する経路です。宛先アドレスに0.0.0.0を指定し、サブネットに0.0.0.0を使用します。 (config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.1.1.1 |
ロンゲストマッチ
ネットワークアドレスのプレフィックス長が最も長く一致しているルートに転送する(ロンゲストマッチ)
デフォルトルート
- デフォルトルートは、ルーティングテーブルに登録されていないネットワーク宛のパケットを転送する際に使用します。
- デフォルトルートを使用すると、ルーティングテーブルの情報量を少なくすることができます。
- 手動での設定とプロトコルでの設定があります。
- デフォルトルートは「Gateway of last resort is」にも表示されます。
【デフォルトルートの設定】
(config)#ip route0.0.0.0 0.0.0.0 {<next-hop> | <interface>} [<distance>] [permanent]
…スタティックルートの設定と同じで、宛先ネットワークとサブネットの両方に0.0.0.0 を指定します。
スタティックルート
スタティックルートとは管理者が手動で設定したルート情報です。ルータの負荷を最小限に抑え、セキュリティも強化されます。
(config)#ip route <address> <mask> { <interface> | <next-hop> } [<distance>] [permanent]
*distance…アドミニストレーティブディスタンス値
*AD値のデフォルトは「1」
直接接続 スタティックルート | 出力インターフェイスのみ指定 IPアドレスで指定しない? |
再帰 スタティックルート | ネクストホップアドレスのみ指定 |
完全指定 スタティックルート | 出力インターフェイスとネクストホップ両方を指定 |
フローティングスタティックルート
フローティングスタティックルートとはスタティックルートをバックアップルートとして扱う手法です。
スタティックルートのアドミニストレーティブディスタンス値をメインルートより大きくし通常はメインルート、障害が発生した時にスタティックルートを使用します。
ダイナミックルーティング
ダイナミックルーティングの場合、障害が発生しても自動でルートを切り替え切り替えられます。スタティックルーティングよりも帯域やCPUに負担がかかります。
メトリック
同じ宛先ネットワークに対して複数のルートが存在する場合、各ルーティングプロトコルはルートごとにメトリックと呼ばれる数値を比較して最適ルートを決定します。
プロトコル | メトリック | 説明 |
---|---|---|
RIPv1、RIPv2 | ホップカウント | ルータから宛先ネットワークまでに経由するルータ数 |
OSPF | コスト | インターフェイスの帯域幅から算出される値 コスト=基準帯域幅÷インターフェイスの帯域幅 |
EIGRP | 帯域幅 遅延 | インターフェイスの帯域幅と遅延から算出される値 複合メトリック=(帯域幅+遅延)×256 |
アドミニストレーティブディスタンス
宛先に対して複数の情報源がある場合、最も優先度の高いプロトコルからのルート情報だけをルーティングプロトコルに学習します。この優先度を決定するのが、アドミニストレーティブディスタンスです。
ルートの情報源 | デフォルトのAD値 |
---|---|
直接接続 | 0 |
スタティックルート | 1 |
EIGRP集約 | 5 |
EBGP(外部BGP) | 20 |
EIGRP(内部) | 90 |
OSPF | 110 |
IS-IS | 115 |
RIPv1、RIPv2 | 120 |
EIFRP(外部) | 170 |
IBGP(内部BGP) | 200 |
不明 AD値が255の場合は到達不能 | 255 |
ルーティングプロトコルの分類
<使用する場面による分類>
自立システム
自立システム(AS:Autonomous System)は同じ運用ポリシーのもとで動作するネットワーク(ルータの集合)のこと
EGP(Exterior Gateway Protocol)…AS間で経路情報をやり取りするプロトコル
⇒BGP
IGP(Interior Gateway Protocol)…AS内で経路情報をやり取りするプロトコル
⇒RIP、OSPF、EIGRP
<アルゴリズムによる分類>
パスベクタ型
デフォルトでは経由するASが少ない経路をベストパスとして使用します。
BGPが該当します。
ディスタンスベクタ型
- ティスタンス(距離)とベクトル(方向)をもとに、ベルマンフォード法(アルゴリズム)によって計算
- ルーティングテーブル全体を直接接続されている隣接ルータに送信する。
(定期的なルーティングアップデートも行われる) - 代表的なディスタンスベクタープロトコルは、RIP と IGRP です。
(EIGRPはリンクステート型の特徴も取り入れており、拡張ディスタンスベクタ型といわれます。) - メトリックにはホップカウントを使用
スプリットホライズン
スプリットホライズンは、ディスタンスベクターによるネットワークで、情報 がやってきた方向に送り返すことを禁止することにより、不正なルーティング情報とル ーティングのオーバーヘッドを軽減します。
リンクステート型
各ルータはリンクステート(接続情報)からネットワークの全体像を把握しSPFアルゴリズム(ダイクストラのアルゴリズム)によって計算します。代表的なリンクステートプロトコルは、 OSPF です。
リンクステートプロトコルは、自身のリンクの状態を含む更新をネットワーク内に ある他の全てのルータに送信する。
コンバージェンスは早く、ルータへの負荷は大きい
- スケーラブル…階層型設計
- 最初にネイバー関係を確立
- リンク情報を交換
- SPFアルゴリズム
- トポロジ全体を把握
- イベントトリガーアップデート
- コンバージェンス(収束)が高速
クラスフルルーティングプロトコルとクラスレスルーティングプロトコル
クラスフルルーティングプロトコル
- ルーティングアップデートにサブネットマスク情報を含めない
- VLSMや不連続サブネットをサポートできません。
- RIPv1、IGRPなどがあります。
クラスレスルーティングプロトコル
- サブネットマスク情報を含めるルーティングプロトコル
- VLSMや不連続サブネットをサポートします。
- RIPv2、OSPF、EIGRPなどがあります。
等コストロードバレンシング
Ciscoルータでは4つまでメトリックが最小のルートをルーティングテーブルに登録し、トラフィックを複数に分配する機能があります。この機能を等コストロードバランシングといいます。
異なるルーティングプロトコルで学習した経路を使ったロードバランシングは行わない
ルート集約
複数のルート情報を一つにまとめることをルート集約といいます。
ルーティングテーブルの検索にかかる負荷を軽減できます。
ルーティングアップデートのトラフィックを軽減できます。
コマンド構文
IPv6のルーティングの有効化
(config)#ipv6 unicast-routing